うつ病の脳回路マーカーを開発
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は12月8日、ATR脳情報通信総合研究所、広島大学、東京大学、昭和大学、京都大学、山口大学、理化学研究所の研究グループが機能的磁気共鳴画像(fMRI)データを人工知能技術で解析し、撮像施設によらない有効な大うつ病の脳回路マーカーを世界に先駆けて開発したと発表した。
2022年度の承認取得を目指す
従来、生物学的な検査データは、精神医学の臨床現場でほとんど利用されていない。
fMRIは脳の活動状況が得られる画像データであり、安全性が高く情報量も多いことから以前より臨床応用が期待されていた。しかし、実際には撮像施設によりデータの性質が異なり、他の施設では利用できないためどの施設でも使える脳回路マーカーの開発ができなかった。
同研究グループは、独自にハーモナイゼーション(調和)法を開発し、各施設のデータを施設間の差を除去した均質な大規模fMRIデータ(総数1,584例)として統合した。このデータに人工知能の機械学習法を適用することで、健常者と大うつ病患者を判別する大うつ病の脳回路マーカーを開発した。
同脳回路マーカーは、他の異なる施設で適用しても健常者と患者を約70%の確率で判別することができたという。
XNef社は、医療機器プログラムとしての実用化を目指し、研究グループと連携しつつPMDAと協議を重ね、2021年度うつ病脳回路マーカーの承認申請、2022年度承認取得、その後保険適用されることを目指すとのこと。
(画像はプレスリリースより)

株式会社国際電気通信基礎技術研究所のプレスリリース
https://www.atr.jp/topics/press_201208.html