日本人のうつ状態などと遺伝子に関する研究成果発表
株式会社ジーンクエストと学校法人藤田学園藤田医科大学は2月13日、日本人のうつ状態や心理的苦痛と遺伝子多型(SNP)に関する共同研究成果が、1月31日専門誌「Translational Psychiatry」のオンライン速報版で公開された、と発表した。
ヨーロッパ系以外を対象とした大規模GWAS解析は世界初
一般的な精神疾患の1つ「大うつ病性障害」は、生涯有病率が約15%もあるが、遺伝的に不明な点が多い。
ヨーロッパ系集団に対する大うつ病性障害の大規模研究では、ゲノム全体をほぼカバーする50万個以上のSNPの遺伝子型を決定するゲノムワイド関連解析(GWAS解析)により、44遺伝子座について大うつ病性障害との関連報告がある。
しかし、日本人に対する大規模研究は実施されていなかった。
そこで、研究グループは、ジーンクエストとヤフー株式会社の共同遺伝子解析サービス「Yahoo!JAPAN-HealthData Labプロジェクト」のデータを活用し、日本人約1万人を対象に、GWAS解析を用いた心理的ストレスと関連するSNPを網羅的に探索調査した。
心理的苦痛の測定は、6個の質問からなる簡易テストである日本語版K6テストを用いた。
今回の研究は、世界で初めて、ヨーロッパ系集団以外を対象とした大規模GWAS解析であるとのこと。
解析したところ、心理的苦痛と有意な関連を示すゲノム上の複数の遺伝子が存在する領域を新たに同定したという。
そのうちの1つは、タンパク質分解酵素の阻害物質の一種であるWFDC11遺伝子であるが、心理的苦痛や大うつ病性障害との関係性は今後の課題であるとのこと。
今後さらなる調査が必要であるが、関係解明のための新たな手がかりとなる可能性があるという。
(画像は株式会社ジーンクエストのHPより)

株式会社ジーンクエストのニュースリリース
https://genequest.jp/topics/news/0/314