薬物療法に反応しない双極性障害のうつ状態に対しrTMS臨床研究を実施

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター（NCNP）病院は4月22日、東京慈恵会医科大学附属病院、慶應義塾大学病院、京都府立医科大学附属病院の4病院共同で、薬物療法に反応しない双極性障害のうつ状態の患者を対象に、rTMSによる臨床研究を先進医療Bで実施する、と発表した。

rTMSは、repetitive Transcranial Magnetic Stimulationの略で、反復経頭蓋磁気刺激のこと。

双極性障害は、気分が高揚したり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す慢性疾患と考えられている。抑うつ状態の期間が長く、薬物療法が効かない場合がある。

経頭蓋磁気刺激（TMS）は、コイルに瞬間的に電流を流し、渦電流による変動磁場によりニューロンを刺激する生体非侵襲的技術である。これを反復する治療法をrTMS（反復経頭蓋磁気刺激）という。

4病院は共同で、薬物療法に反応しない双極性障害のうつ状態の患者を対象にrTMSによる治療を行い、薬事承認・保険適用を目指して臨床研究を開始する。

臨床研究の対象者は、精神障害の診断と統計マニュアルによる双極性障害、抑うつ状態にある患者で、20歳以上75歳以下、HAMD17の総得点が18点以上、抑うつ状態が3年未満の患者。

かつ、4種類の薬物のうちどれか1つを8週間以上投与しても反応しない患者。臨床研究中は、抗うつ薬は投与しないとのこと。

rTMSによる治療は、週5日、4週間行う。治療後の6か月間経過観察を行い、評価する。

実施期間は、2019年3月1日～2023年3月31日。患者の症例登録は、2019年5月7日から開始する。

先進医療の関係する患者の自己費用負担はないが、診察料・処方箋料・検査などは通常の保険診療となる。

（画像はプレスリリースより）




国立精神・神経医療研究センターのプレスリリース
https://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=448