行動依存症のバイオマーカーを発見
京都大学と特定医療法人共和会共和病院の研究グループは7月22日、万引き等窃盗症と痴漢等性嗜好障害等の行動依存症の生理学的特徴を解明しバイオマーカーを発見したと発表した。
行動依存症は精神疾患
依存症には、アルコールや麻薬等物質を対象とする依存ばかりでなく、分かっていながら繰り返し衝動的に行うギャンブル・ゲーム・万引き・痴漢・盗撮等の行動依存症がある。
現在まで行動依存症を特徴づける生理学的な知見は少なく、物質を対象とする依存症との共通点・相違点も明確になっていない。
研究グループは、万引き等の窃盗症と痴漢等の性嗜好障害の入院患者と、健康な成人男女を対象に、血液中の神経伝達物質であるモノアミンの測定と血液細胞DNA上の遺伝子発現調節スイッチであるメチル化の状態を解析した。
モノアミン濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析した結果、モノアミンの1つであるドーパミンの代謝産物ホモバニリン酸が行動依存症患者では健常者より多く、物質薬物依存症から予想される結果と一致した。
DNAの85万ヵ所のメチル化状態をマイクロアレイにより全ゲノム網羅的解析法で行った結果、186ヵ所で行動依存症患者と健常者に相違があった。また、メチル化の変化が見られた遺伝子には、統合失調症・自閉症スペクトラム・知的障害・薬物依存症等の精神疾患とも関連することが分かった。
したがって、これらの生理学的変化は、行動依存症を特定するバイオマーカーとなる可能性があるとのこと。
窃盗症や性嗜好障害等の行動依存症は、精神疾患であると認知され、犯罪抑止・減少のため適切な治療を行う必要があるという。
(画像はニュースリリースより)

京都大学のニュースリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/別掲
http://www.kyoto-u.ac.jp/