STMGP法がうつ病等のリスク予測に有用
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は8月17日、岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)の協力のもと、機械学習手法のSTMGP法がうつ病等の精神疾患リスク予測に有用であることを発表した。
同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の脳科学研究戦略推進プログラムの課題により行われた。
個別化医療や予防法を提供
精神疾患の発症には多数のDNA多型が関わっているが、DNA多型の効果サイズが小さいため、疾患との関連を示すDNA多型を正確に検出することは困難である。
ToMMoの研究グループは、STMGP法(smooth-thresholded multivariate genetic prediction法)を用いて、うつ病症状に関連するDNA多型情報について解析した。STMGP法は、ToMMoの田宮元教授の研究グループが開発した高精度に複雑な遺伝疾患のリスク予測を可能とする機械学習手法である。
研究では、宮城県在住の3,685人分のDNA多型情報を用いて予測モデルの機械学習を行い、岩手県在住の3,048人のデータを用いて予測モデルの精度を評価した。
最初に、うつ病に関する症状のデータとシミュレーション解析により作成されたデータを用いて予測精度を検討した。次に、STMGP法と他の最先端の予測モデルについて、予測精度と過学習の程度を比較した。
結果は、うつ病に関する症状のリスク予測では他モデルとの有意な差はなかったが、STMGP法は最も高い予測精度を示した。シミュレーション解析では、STMGP法が精神疾患のDNA多型情報からのリスク予測に有用である可能性を示した。
STMGP法は、今後より研究が進むことで、うつ病等の精神疾患に関する病態をDNA多型に基づいて理解し、個別化医療や予防法を提供できることが期待されるとのこと。
(画像はプレスリリースより)

東北大学東北メディカル・メガバンク機構のプレスリリース
https://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/別掲
https://www.megabank.tohoku.ac.jp/pdf/