社会不安症に対して
国立大学法人千葉大学は6月3日、社交不安症(対人恐怖症)に対して、認知行動療法が長期にわたり確かな効果をもたらすことを発表した。
これは国立大学法人宮崎大学の吉永尚紀講師と国立大学法人千葉大学の清水栄司教授らの研究グループが明らかにしたもので、治療終了1年後には57.1%の患者で診断がつかない程度まで改善するといった大きな効果があったとのこと。
社会不安症(対人恐怖症)は、他人との交流を行う場面で著しい不安や恐怖を感じることを主症状とする精神疾患で、その患者数の多さや日々の生活の中における困り度の高さから社会的に損失の大きい疾患である。
そのため、この疾患における労働損失は各国の経済状況に甚大な負担を与えると言われている。
治療にはもっぱら抗うつ薬が用いられ、ある程度効果的な治療法として普及しているが、一部の患者では十分な改善が得られなかった。そこで行われたのが対話による治療である。
新しい治療として日本に
国立大学法人千葉大学が発表した社交不安症(対人恐怖症)に対する治療は、一時的な症状改善にとどまらず長期的に効果があることが明らかとなった。
研究グループによって対話による認知行動療法を受けたのは患者21名。そのうち85.7%にあたる18名が顕著な改善反応を示し、57.1%にあたる12名が健常者と同程度にあたる社交不安症の診断がつかない程度まで改善。
これにより、この研究成果は社交不安症の診療ガイドラインの改定といった世界の標準治療に貢献しうる貴重なデータになる可能性が高く、今後研究グループはインターネットを活用した治療プログラムの日本語版を開発し、次の治療へとつなげていくとのこと。
(画像はプレスリリースより)

国立大学法人千葉大学プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000349.000015177.html