妊娠中の痛みと産後うつの関連を解明
高知大学医学部の研究チームは4月14日、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータ解析した研究成果として、妊娠中の痛みと産後うつの症状に関連があることが明らかになったと発表した。
産後うつリスクは妊娠中の痛みが長期ほど上がる
産後うつは、出産後1年までの産婦の9~13%程度に発症すると言われており、分娩時・産後の痛みが産後うつに影響を与え妊産婦の自殺との密接な関連が指摘されている。しかし、妊娠中の痛みと産後うつ関連の危険因子がすべて明らかになっているわけではない。
研究チームは、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用い、死産・流産・多胎・もともとうつ病のある妊婦を除いた84,801人の母親を対象に、妊娠中の体の痛みと産後1か月の産後うつ症状との関連を解析した。
対象者84,801人のうち13.6%の11,535人が、産後うつ陽性としてスクリーニングされた。また、妊娠初期~中期で69.6%、中後期で84.0%の妊婦が程度の差があれ痛みを感じていることがわかった。
妊娠中の初期の痛み、中期~後期の痛みについては、痛みがあると産後うつの症状もあらわれやすく、痛みの重症度でみると痛みが強くなるほど産後うつのリスクが上昇するという相関が見られた。
妊娠初期の痛みについての産後うつ症状リスクは、「痛みなし」のグループと比べ「かすかな痛み」で1.22倍、「軽い痛み」で1.32倍、「中くらいの痛み」で1.43倍、「強い/非常に激しい痛み」で1.54倍だった。
妊娠中期~後期の痛みについては、「痛みなし」のグループと比べ「かすかな痛み」で1.27倍、「軽い痛み」で1.49倍、「中くらいの痛み」で1.63倍、「強い/非常に激しい痛み」で1.70倍となった。
初期、中期~後期と2回痛みのないグループとの比較では、「初期のみ痛み」で1.28倍、「中期~後期のみ痛み」で1.42倍、「2回とも痛みあり」で1.95倍と約2倍となった。
妊娠中の痛みの強さが大きく期間が長いと産後うつのリスクが上がることが判明したため、産後うつの予防には妊娠中の痛みについても早期発見・早期対応をすることが重要とのこと。
(画像はプレスリリースより)

高知大学のプレスリリース
https://prtimes.jp/000000010.000085338.html